研究概要 |
近年発達したメディア環境のもたらす高度な「選択性」が、どのような社会-心理的影響をもたらしうるのか、特に(従属変数として)周囲の人間関係と社会認識の二側面に焦点をあてて、各種のデジタルメディア利用がもたらす選択性が与える影響、またそれらの相互関連性について検討することが本研究の中心とするテーマである。 平成22年度は研究の中心年の実証フェーズとして作業を進めた。まず前年度から行っている既存の研究レビューを進め、各種メディア利用、および対人ネットワークについて、選択性という共通の側面から既存の知見を整理検討した。 そのような作業から検討対象となる諸変数を準備した上で、最終的に平成23年3月に大手オンラインパネルを利用して調査を行った。対象者は首都圏一都三県に居住の20代~50代男女で人口比を元に割り付けを行った。サンプル数は2,611人、回収数は1,507人(57.7%)であった。質問項目はマスメディア接触(テレビ視聴時間、ジャンル、テレビ・新聞・ネットニュース接触、各種映像機器利用)、携帯電話利用(頻度、登録人数)、インターネット利用(接触サイト、動画利用、各種サービス利用)、対人的ネットワーク(各領域規模、集団所属、ポジションジェネレータ)、各種心理・行動項目(情報接触、友人関係、寛容性、心理的健康、信頼感、投票参加、培養イメージ)、およびデモグラフィック項目である。現在は取得データについて基礎的分析を進めており、このさらなる展開および結果の公表準備が次年度の検証フェーズの中心課題となる。
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