研究概要 |
本研究では,幼児の日常の生活の具体的な文脈の中で獲得されるインフォーマルな数量の知識や関連の技能が,就学後,どのように教科としての算数の単元を学習する際の基礎になりうるのかを包括的かつ縦断的なデータを分析することにより,幼児期から児童期の認知発達の変化と教育のあり方について,多面的に考察することを目的とする。 今年度は,子どもの発話や会話を中心に,子どものもつ数量概念の表象について検討する。その際,申請者が行ってきたこれまでの実験のデータと関連づけることにより,日常の文脈のある場面での数量概念の獲得のされ方を多面的に明らかにすることを目的し,以下の点について分析,検討した。 (1)子どもの発話や会話から得られる数量概念の分析:幼稚園での参与観察を通して,子どもの発話や子ども同士の会話から,幼児期の数量概念の発達について検討した。また今までの実験データで得られた知見と比較することによって,数量概念の様々な側面について分析し,考察した。 (2)数量理解の発達と算数教育の学びの連続性の検討:小学校で学習する算数と幼児期までの数量概念がどのように関連するのかということについて,小学校での観察,ならびに算数教育の文献等で検討した。 (3)他国での算数教育との比較:発達段階を細かく設定し,それにそった教育を行っている英国の幼児教育と,日本での幼児教育における発達観や数量概念のとらえ方の違いについて,文献を中心に検討した。
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