研究概要 |
本研究では,幼児の日常の生活の具体的な文脈の中で獲得されるインフォーマルな数量の知識が,就学後,どのように教科としての算数を学習する際の基礎になりうるのかを包括的かつ縦断的なデータを分析することにより,幼児期から児童期の認知発達の変化と教育のあり方について,多面的に考察することを目的とする。 今年度は,昨年度から継続している子どもの発話や会話を中心に,子どものもつ数量概念について検討した。さらに,昨年度,幼稚園の年長児が小学1年生になっているので,小学校での授業場面での子どもの発話や会話についても比較,検討している。 (1)子どもの発話や会話から得られる数量概念の分析:昨年度から引き続きおこなっている,幼稚園での参与観察を通して,子どもの発話や子ども同士の会話から,幼児期の数量概念の発達について検討した。 (2)数量理解の発達と算数教育の学びの連続性の検討:小学校で学習する算数と幼児期までの数量概念がどのように関連するのかということについて,小学校での観察をおこなった。観察した子どもたちは,昨年度,幼稚園の年長であった子ども達が,小学1年生になっている。そこで,幼児期から児童期にかけての縦断的な発話分析から,子どもの数量概念について分析,考察している。 (3)幼児期の学びの特徴と幼小のつながり:数量概念だけではなく,幼児期の学びにおいて,どのような観点が必要であるのか,具体的な事例から考察した。また特に数概念は早期教育として導入されやすいが,幼児期では,単に知識として教えるのではなく,子どもの主体的な遊びが重要であることを論じた。
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