わが国では、少子高齢化にくわえて、生き方や働き方の多様化を背景に、私生活と仕事生活の調和、すなわち、ワーク・ライフ・バランスへの認識が高まりつつある。本研究は、そうしたバランス実現へ向けて、若年者を対象としたキャリア形成力支援に役立つプログラムの構築を目的としたものである。 本年度は、職業に対しするジェンダー・ステレオタイプと自己効力を測定し、双方の関連性について検討を加えた。結果として、職業に対して伝統的なステレオタイプをもち、当該職業を異性のものとみなすことによって自己効力が低下するという知見が得られた。これより、ワーク・ライフ・バランスやジェンダー・センシティブな視点をもつキャリア支援の方向性として、男性職、女性職といった性別による区分けや男女占有率以外の情報を与えて、仕事特性について再考を促すような働きかけが望まれよう。また、伝統的に異性優位な領域で活躍する同性モデルにふれる機会を与えることも有用な働きかけといえるだろう。
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