研究概要 |
平成23年度は過年度までに開発済みの「議論可視化キット」を用いて以下の3点について研究を行った. (1)議論パフォーマンス瀦定指標の開発とその妥当性・信頼性の検討 議論パフォーマンスの変化を測定するために,(1)議論開始から最初の2分間のみの談話を分携して議論の目的設定や問題定義に関する能力を測定するための評価枠組み,及び(2)議論におけるノンバーバル行動を評価する判断基準,を作成した. (2)大学生が苦手とする議論プロセスの特定 「目的と定義」「意見の要約」「アイデアの提案と検討」「建設的批判」「方向のコントロール」「発言の促進」という6つのカテゴリーについて検討したところ,「建設的批判」が最も起こりにくいと同時に改善もされにくいことが明らかになった.その次に困難なのが「目的と定義」「方向のコントロール」「発言の促進」であった,ノンバーバル行動においては,グループ全体を見渡しながら議論することが苦手であること,及びジェスチャーは他の行動に比べて改善されにくいことが明らかになった. (3)議論可視化キットによる訓練の効果性,及び議論力獲得プロセスの解明 議論行動を自己評価するためのルーブリックを参加自身が作成する課題を導入したことによって,自発的に行動改善目標を立てた行動カテゴリーについては後続のセッションで改善される可能性が高くなる傾向が示された.このことから議論の改善には参加者の目標設定支援が鍵であると言える.
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