研究概要 |
発達障害児ならびに定型発達児の児童15名を対象とした「外国語活動」に関する長期的な学習支援プログラムを開始した。プログラムの教育上のねらいは,子ども自身が「英語が大好き」と思える学習環境を整えることを大前提としながら,子どもたちの音韻意識を育て,英語の実用的な能力を身につけていくこと,最終的には,コミュニケーションを重視した活動を,子どもたちが自信をもって体験していくことができることとした。 開始にあたり,プリテストとして,子どもたちのワーキングメモリ,非単語反復能力,音韻認識能力を測定し,それらのプロフィールの分析を行った。ワーキングメモリの測定に関しては,1年次に行った,AWMA(Automated Working Memory Assessment)の日本語版を利用した。 子どもたちの認知プロフィールの代表的なものは,視覚性ワーキングメモリが高く,言語性ワーキングメモリが低い視覚性ワーキングメモリ優位型,言語性ワーキングメモリが高く,視覚性ワーキングメモリが低い言語性ワーキングメモリ優位型,両者が低い両低型であった。それらのプロフィールの特徴を分析し,また,子どもたちの発達特性を考慮しながら,物的・空間的・人的環境の3点から学習支援プログラムの大枠を立案した。本プログラムの評価については,プログラム終了時(3年次)に,ポストテストを行うこととするが,より重点をおいている点は,活動中の子どもたちの様子である。それらを詳細に記録しながら,エピソードについて質的分析を行い,プログラムの改善を適宜行っていく。 学習支援プログラムは2年次から3年次にかけて約1年間の縦断的なものとなる。評価分析については,3年次に総括を行うこととする。
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