2年次から引き続き、発達障害のある子どもならびに定型発達の子ども、児童15名を対象とした「外国語活動」に関する長期的な学習支援プログラムを実施した。2年次に、子どもたちには、ワーキングメモリ、非単語反復能力、音韻認識能力を測定し、個人のプロフィールの特徴を分析し、また、子どもたちの発達特性を考慮しながら、物的・空間的・人的環境の3点から学習支援プログラムの大枠を立案した。3年次は、プログラム活動を引継ぎ行った。これらのプログラムの内容については、プログラム実施前後のカンファレンスを通して、適宜改善された。 ワーキングメモリの活動を促進するために着目した活動は、以下の3つであった。 (1)エピソディックバッファの活用:多感覚な統合メソッドを用い、英語の音声と文字、また対応する絵やジェスチャーなどをマッチングさせながら提示することで、ワーキングメモリのエピソディックバッファ内の英語関連情報の保持を促進した。 (2)音韻ループ内の情報の効率的な利用:音声情報を個別に認識したうえで、個々の音声をつなげて発声するブレンディング課題をプログラム中に行うことで、音韻ループ内の英語情報の個数を節約した。 (3)モチベーション維持:学習に対する明確なモチベーションとワーキングメモリの活動を連動することは、効率的な学習につながる。したがって、子どもたちの興味に応じたトピックを取り上げ、かつ、毎回、活動の流れを示し、子どもたちに提示した。 プログラム終盤、子どもたちの英語に対する音韻認識力や英語の音声識別能力が向上するとともにコミュニケーションならびにリーディングに明らかな効果が見られた。
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