【目的】 ・成人と幼児に道具操作の模倣を求め、imitation-specific goal selectionを検証する。特に目標の選択におけるバイアスの有無を検討する。 【研究1】 ・大学生30名に対し、コップ2個と棒状の糊1本を用いた道具操作を模倣させた。effecter(右/左手)×movement(右/左回し)×object(右/左側)×treatment(右/左端)×end point(右/左横)の要素を変数として32種の動作モデルを設定した(Ex.右手で糊を持ち、右回しで反転させ、右側のコップの右端を軽く触れた後、右横に置く)。動作モデルを動作に変換する条件、言語に変換する条件、視空間に変換する条件を設定した。新たに視空間条件を加えながら全条件の手続きを改良することによって、模倣反応の出力方法の違いがもたらす影響を検討した。 【研究2】 ・幼児31名に対し、玩具の電車を駅に見立てたボックスに入れる操作を模倣させた。提示された電車を右/左手で持ち、ボードの右/左端に置き、中央に向けて電車を走らせた後、右/左回しにして方向を変え、右/左側のボックス(駅)に到着させる動作をモデルとした。特徴のない2個の白色のボックスを使用する統制条件、一方に「×」他方に「○」のシグナルを付けておく目標条件、シグナルの位置を反転させる入替条件(Ex.右側の「×」の付いたボックスに電車が入る動作を提示するが、模倣させる際には「×」の付いたボックスを左側に置いておく)を設定した。視空間とシグナルのいずれを選択するか調べることを目的とした。 【まとめ】 ・先行研究の主張と異なり、初期に入力された視覚的な情報が同一でも、模倣反応の出力方法の違いは強固な影響を及ぼすことが示された。さらに、imitation-specific goal selectionは少なくとも模倣全体には適用できないことが示唆された。
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