研究課題/領域番号 |
21730533
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
崎濱 秀行 阪南大学, 経済学部, 准教授 (30413280)
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キーワード | メタ認知的知識 / メタ認知的知識重視度合い / JESS / 修辞 / 論理構成 / 内容 / 1因子性 / メタ認知活用システム |
研究概要 |
平成23年度は、書き手のメタ認知的知識重視度合いを測定する尺度の作成、および、メタ認知活用システム構築に向けた準備を進めた。平成21年度の予備調査、22年度の文章産出に係る信念をたずねる調査によって得られた成果を踏まえ、まずは書き手のメタ認知的知識重視度合いを測定する尺度の作成を試みた。高等学校国語科教科書、及び先行研究等を踏まえ、「内容」「(論理)構成」「修辞」の3側面に関連する項目を基に、46項目で構成される質問紙を作成した。また、本研究に取り組む際に産出文章の採点に用いているシステム(JESS)の採点観点に対応した7項目(「修辞」4項目、「(論理)構成」2項目、「内容」1項目)で構成される質問紙についても作成した。これらの質問紙を用い、大学初年次生を対象に、文章産出時に質問紙各項目にどの程度取り組むかを尋ねた。 まず、JESSの評価観点に対応した7項目の構造を検討するため、大学初年次生に対する調査で得られたデータを基に因子分析を行った。しかしながら、1因子性が高く、また、各項目とも、JESSによる文章採点で得られた得点(「修辞得点」「(論理)構成得点」「内容得点」との相関が有意であった。この傾向は、論作文産出初期/終期といった時期に関わらず見られた。このことから、文章産出活動に対して書き手自身が持つメタ認知的知識については、採点観点に即した「修辞」「(論理)構成」「内容」といった分化した観点で構成されているわけではなく、文章産出活動として重視する必要がある点(メタ認知的知識)として一次元で捉えていることが考えられる。そこで、得られた1次元の尺度と質問紙各項目(46項目)との関連度合いを検討し、最終的な尺度を作成した。この尺度により、書き手のメタ認知的知識の活用を促すためのシステム(尺度)を構成し、実際の文章産出場面において使用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、書き手自身が有しているメタ認知的知識、あるいは文章産出時にあまり活用していないメタ認知的知識を文章産出時に活用することができるためのシステムを構築できることが目的である。尺度作成や尺度の下位構造の検討はその中核をなすものと位置付けられる。平成23年度末までの時点で尺度の下位構造の検討までが実現したことから、尺度最終版作成やメタ認知活用システム構築の試み(年度内の予定)はおおむねなされたものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は次年度をもって完了する。そのため、次年度は尺度最終版の信頼性の確認等を行った後、実際の文章産出場面において尺度を使用し、書き手自身がメタ認知的知識を活用できるシステム構築を行う予定である。これらの活動および活動におけるデータ取得を年度前期から後期にかけて実施する。その上で、得られた成果についても、年度後期を中心にまとめる予定である。なお、信頼性の確認等の際に書き手の産出文章データベース化が必要になった場合は、前期終了以降、早い段階からデータベース化および分析が行えるよう、補助要員の配置等にも留意することとする。
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