平成24年度は、まず、平成23年度に作成された質問紙(7項目)およびメタ認知的知識重視度合に関する質問紙(46項目)を用いた調査の分析結果を踏まえ、メタ認知的知識重視度合いを測る尺度の正式版作成のための検討を行った。両尺度の項目間の相関係数の算出、項目の内容の中身の検討結果を踏まえ、最終的に7項目に集約した(修辞的側面に関する項目:4項目、論理構成側面に関する項目:2項目、内容的側面に関する項目:1項目。これらは本研究における論作文の採点に用いているJESS(石岡,2003)で示されている採点観点や採点結果にも対応している項目である)。 次に、平成24年度後期、メタ認知的知識活用システム構築およびシステム運用に向けた研究に取り組んだ。具体的には、まず、集約した7項目を、書き手のメタ認知的知識重視度合いに加え、メタ認知的知識活用度合いを測る尺度、およびメタ認知的知識の活用を促す上で書き手にチェックリストとして提示する際の項目として使用するため、質問紙作成およびチェックリスト作成を行った。次に、質問紙・チェックリストを使って論作文作成課題を実施した(対象は大学生9名)。論作文課題は第1回(10月)、第2回(11月)、第3回(12月)の計3回行ったが、第2回課題における文章で得点の低い側面に関わる事項をチェックリストで示し、第3回課題作成時に留意するよう求めた。その上で、チェックリスト提示前後の書き手の産出文章および文章産出活動について検討を加えた。結果として、チェックリスト提示前後で産出文章に対する得点が低下した書き手、上昇した書き手の両方が見られたものの、両者とも、チェックリストを意識しながら論作文課題に取り組もうとする方向への文章産出活動の変化が生じていたことが示唆された。
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