研究課題/領域番号 |
21730535
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研究機関 | 新見公立短期大学 |
研究代表者 |
芝■ 美和 新見公立短期大学, その他部局等, 講師 (00413542)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 謝罪 / 表情情報 / 罪悪感 / 社会的情報処理 |
研究概要 |
本年度では被害児の表情が加害児の謝罪や認識に与える影響について検討した。研究3では被害児の表情が被害状況と合致するか否かによって加害児の行動予測が異なるかを検討した。調査対象児は4・5・6歳児各40名程度であり,年齢(3:4,5,6歳児)×被害児の表情群(2:ネガティブ,ポジティブ)の2要因計画であった。調査対象児の回答を謝罪・補償行動,自己中心的行動,何もしない・どうしたらよいか分からないの3つに分類し分析した結果,謝罪・補償行動を回答した者は4歳児よりも6歳児,ポジティブ表情群よりもネガティブ表情群で多かった。また,自己中心的行動を回答した者は6歳児よりも4歳児で多く,何もしない・どうしたらよいか分からないに関しては,5・6歳児ではネガティブ表情群よりもポジティブ表情群で多かった。研究4では被害児の表情が被害状況と合致するか否かによって謝罪後の加害児の認識に違いが見られるかを検討した。調査対象児と要因計画は研究3と同様であった。分析の結果,被害児への罪悪感と補償行動については年齢と表情群による違いが見られなかったが,5歳児に比べ6歳児では加害児の謝罪を誠実な謝罪であると判断すること,4歳児よりも5・6歳児の方が違反の反復欲求を抑制し,謝罪後の罪悪感が違反の反復欲求を抑制するのは4・5歳児よりも6歳児であることが明らかになった。以上の結果から,年齢に伴い自己中心的行動ではなく謝罪や補償行動を示す幼児が多くなるが,被害児が被害状況に即したネガティブな表情を示す場合よりも被害状況と矛盾したポジティブな表情を示すときの方が謝罪や補償行動が選択されにくいこと,5・6歳児では被害児がポジティブな表情を示す場合,「どうしたらよいか分からない」と戸惑い,「何もしない」ことを選択すること,ひとたび謝罪した加害児の罪悪感や違反の反復抑制には被害児の表情による違いが見られないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼児および児童のデータに関しては計画通りに収集できている。
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今後の研究の推進方策 |
被害児の表情がネガティブな場合に比べてポジティブな場合,5・6歳児では「何もしない・どうしたらよいか分からない」と回答する者が多く,被害状況と矛盾した表情情報が幼児の謝罪や道徳行動を抑制することが確認された。加害児の謝罪や道徳行動を動機づけるためにはどのような介入が必要であるかについて今度検討する必要がある。
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