本年度は、まず再登校レディネス尺度を含めた不登校に関する諸変数間の影響・関連について検討した。再登校レディネス尺度の下位尺度(「家族内接触」「学習・垂直関係接触」「非学習・水平関係接触」)を説明変数、「再登校得点(教室内・教室外含む)」を目的変数とする重回帰分析を行ったところ、「教室外登校」得点に対して、「非学習・水平関係接触(.63)」および「学習・垂直関係接触(.28)」からの影響がみられ、「家族内接触因子」からの影響はみられなかった(R二乗=.54)。一方、家族内接触因子得点は、不定愁訴得点との間に弱い負の相関がみられた。 この他、家族内接触に関する検討では、不登校開始年齢が低いほど「家族内接触因子」得点が高い傾向が示された。また不定愁訴に関して、ひきこもり状態を呈した不登校児童生徒の不定愁訴得点は、そうでない不登校児童生徒に比べて高く、また過剰適応傾向が強い不登校児童生徒ほど、不定愁訴得点が高いといった結果が示された。 上記の結果および事例より、再登校支援モデルを作成した。本モデルは、自宅内における家族との接触、外出、学習、友人との接触、教員との接触といった観点から、不登校の段階を7つの段階に分類し、各段階において適切と思われる支援の具体例を示したものである。さらに、モデルに基づき、教員によるチェックリスト形式の再登校支援アセスメントシートも開発した。今後、本モデル、およびアセスメントシートを活用した不登校支援が望まれる。
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