研究概要 |
健常大学生の強迫性障害傾向・全般性不安障害傾向・社交不安障害傾向と遂行機能の関連を検討するため,遂行機能を測定する検査課題ならびに質問紙調査を実施中である。現在,大学生100名程度のデータを集積中であり,平成24年度には学会にて発表予定である。これまでの成果に加え,本研究の成果を加えることで,心理機能障害傾向と遂行機能障害傾向の関連をより包括的に,transdiagnosticに明らかにすることができる。本年度はさらに,これらの心理機能障害と関連する特性であると考えられる「不快情動耐性」distress toleranceと遂行機能の関連を検討した。不快情動耐性は遂行機能に関連する(仮説1),また,不快情動耐性が高い者はネガティブ情動喚起下においても非喚起下でのパフォーマンスが低下しない(仮説2)を質問紙調査ならびに実験により検討した。その結果,遂行機能障害質問紙DEXと不快情動耐性との有意な正の相関が示され,仮説1は支持されたものの,Paced Auditory Serial Addition Task(PASAT)を用いた実験的検討では仮説2は支持されなかった。この成果は,『Relationship between distress tolerance and executive function in Japanese college students.』として,国際学会にて発表を行った(連名発表)。なお,平成22年度に行った研究の一部は,『依存性・境界性・回避性パーソナリティと遂行機能との関連』として,日本感情心理学会第19回大会・日本パーソナリティ心理学会第20回大会合同大会にて発表を行った(連名発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遂行機能質問紙・課題を用いて,これらの個人差を測定し,その個人差と日常生活における認知行動制御,感情制御に影響を及ぼすこと,心理機能障害傾向に影響を及ぼすことを明らかにしているからである。
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