本研究は、セラピストの曖昧さへの態度に着目し、心理臨床的援助及び精神的健康の向上につながる態度を明らかにすることを目的としている。本年度は、臨床心理士を調査対象とした研究を行うに際し、研究計画および調査内容や倫理面について、臨床心理士資格を有する研究者と検討を行った。その結果、セラピストの曖昧さへの態度の側面や各態度の特徴は、日常場面と臨床場面では異なる可能性があり、特に心理面接場面における態度についても検討した上で研究を進める必要性が示唆された。そこで「心理面接における曖昧さへの態度尺度」を作成するため、「曖昧さへの態度尺度(日常版)」の項目修正および内容的妥当性の検討を行い、尺度原案を作成した。セラピストの曖昧さへの態度と関連が想定される要因(基本属性・精神的健康等)についても概観を行った。また、臨床心理士を対象とした質問紙調査を実施する前に、面接調査によるセラピストの曖昧さへの態度についての基礎的検討の必要性が考えられた。そこで、心理面接場面において生じるセラピストの曖昧さへの態度とその特徴についての反応を収集すること、および「心理面接における曖昧さへの態度尺度」原案について検討することを目的に、心理臨床経験5年以上の臨床心理士を対象に面接調査を実施した。内容は、作成した尺度原案への回答と意見収集および心理面接における曖昧さへの態度を問う半構造化面接である。次年度に面接調査の結果を整理した上で、質問紙調査を実施する予定である。
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