研究概要 |
小児がん患者の家族は,患者と同様に,様々な心理学的苦痛を抱えていることが知られており,応募者のこれまでの研究成果においても,小児がん患者の母親は子どもの体調や再発に関する心配や子育てにおける困難さを抱えていることがわかっている。このような小児がん患者の家族が抱える心理学的問題に対して,海外では,問題解決療法をはじめとした心理学的介入プログラムが開発されており,その効果が示されている。本研究では,これまで我が国では十分な心理学的支援がなされていない小児がん患者の家族,主に患者のケアに関わっていると考えられる母親を対象に,問題解決療法を主とした介入プログラムを作成し,介入効果を検討することを目的としている。 本年度は,本研究の研究計画の立案および先行研究(Shaler et al., 2005)および成人がん患者を対象とした問題解決療法プログラムをもとに,新たにプログラムの作成を行った。プログラムは,6セッションから構成され,問題解決のための5つのステップ(ステップ1:問題・心配の把握;ステップ2:問題の明確化と達成可能な目標設定;ステップ3:解決策の産出;ステップ4:解決策の選択と決定;ステップ5:解決策の実行と評価)に従って行われる。次年度は,ワークシート等のプログラム実施に必要な材料の作成,およびプログラムの予備的有用性の検討を行う予定としている。 本研究において小児がん患者の母親を対象とした介入プログラムが作成され,その有用性や効果が示されれば,これまで十分支援なされていなかった小児がん患者の家族への支援につながると考えられる。
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