研究概要 |
小児がん患者の家族は,患者と同様に,様々な心理学的苦痛を抱えていることが知られており,応募者のこれまでの研究成果においても,小児がん患者の母親は子どもの体調や再発に関する心配や子育てにおける困難さを抱えていることがわかっている。このような小児がん患者の家族が抱える心理学的問題に対して,海外では,問題解決療法をはじめとした心理学的介入プログラムが開発されており,その効果が示されている。本研究では,これまで我が国では十分な心理学的支援がなされていない小児がん患者の家族,主に患者のケアに関わっていると考えられる母親を対象に,問題解決療法を主とした介入プログラムを作成し,介入効果を検討することを目的としている。 本年度は,前年度に引き続き、介入研究を行なった。年度途中で、研究者の異動により、これまでの介入実施施設での介入が困難となったため、当初の予定していた対象者数は確保できなかったため十分な効果研究には至らない部分があったが、受諾率、完遂率、QOL等のデータ分析により、本プログラムの実施可能性を確認し、心理的負担の軽減にも貢献するプログラムであると考察された。また、ワークシートの改訂を試み、よりプログラムの実施において使いやすい、わかりやすいものを作成し、介入も研究代表者以外でも実施できるようマニュアルの作成も行った。今後の課題としては、効果研究を行うこと、また、介入による変化についての事例検討などが挙げられる。 本研究において小児がん患者の母親を対象とした介入プログラムが作成され,その有用性や効果が示されれば,これまで十分支援なされていなかった小児がん患者の家族への支援につ-ながると考えられる。
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