研究概要 |
平成21年度は,薬物療法でも不眠が残存するうつ病の患者を対象とした短期睡眠行動療法を開発し,この有効性と予後予測因子を確認するための無作為割り付け対照試験(randomized controlled trial : RCT)を実施した.このRCTで有効性データを得て,本研究で行う費用対効果分析に着手した. 費用対効用分析では,治療効果・有害作用の両方を反映した単一健康関連QOL尺度を必要とする.本研究では米国公衆医学タスク・フォースが推奨するQuality Adjusted Life Year (QALY)を用いる. 本研究ではQALYの計算にうつ病評価尺度であるHAMDを利用する.HAMDはQOL尺度としての妥当性も証明されている.短期睡眠行動療法の費用や労力,不眠・うつ病・QOL・生活変化等すべてのアウトカムを経済的ユニットに変換し,社会的利益が支出を上回るかどうか計算する.社会的利益は前述のQALY変化を用いて,先行研究データを元に試算する.支出は直接費用(医療サービスだけでなく,住居補助や地域援助など精神科医療以外の領域も含む)とする.
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