本年度は、Hoge & Andrews(2002)が開発した第3世紀リスクアセスメントツールであるYouth Level of Service Inventoryについて我が国の少年保護法制の実情に合わせ、我が国の非行少年に対して適用できるよう日本語版の作成を行った。日本語版の作成にあたっては、実際に非行少年の実務において現場の第一線で稼働している法務省の法務技官、家庭裁判所の調査官からの意見を参考にして、我が国の実情に沿う内容として開発した。 次に、実際に家庭裁判所に係属し、少年鑑別所に入所してきた非行少年について、法務省に所属する法務技官によって資質鑑別業務の一環として作成されたリスクアセスメントツールの項目について調査を実施した。この実施によって、我が国の非行少年の犯罪リスクについて基礎的なデータを収集した。これにより、再犯と関連の深いと考えられる非行歴、家庭状況・養育、教育・雇用、仲間関係、物質乱用、余暇・娯楽、人格・行動、態度・志向等の各領域についての我が国のデータを収集することができた。この内容については、2009年の犯罪心理学会において発表を行った。また、非行少年の再犯について追跡調査を計画し、現在その1部について結果を得ている。
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