研究概要 |
(研究1)キャリア教育の内容ときっかけが大学生のCAに与える影響の検討 目的:SavickasによるCA尺度日本語版を開発し、キャリア教育に関する授業を履修した大学生にCAを縦断的に実施し、CAの変化を検証した。 方法:対象は大学生511名であった。うち、キャリア教育の授業を春学期と秋学期に履修した者は340名(Gr1)、秋学期のみ履修した者は171名(Gr2)であった。 結果:Gr1において、キャリアアダプタビリティが向上した学生の「きっかけ」と「内容」について問い、組み合わせによって群わけして、キャリアアダプタビリティの向上について検討した。しかし、群とキャリアアダプタビリティとの間には明確な関連は見られなかった。 考察:Gr1の縦断的比較から、就職時期に近づくにつれて大学生のCAが上昇する可能性が示唆されたが、その原因については明確にならなかった。 (研究2)大学生の進路決定における心理的プロセスに関する研究 目的:就職年度の違う大学生を対象に半構造化面接を行い,心理的プロセスを比較検討した。さらに進路決定後の離職意向についてインタビューを行い、キャリア意識、職業性ストレスが離職に及ぼす影響を検討する。 方法:関東近郊の文科系大学で,卒業後の就職先を決めた2009年度卒業予定の大学生10名(男性3名,女性7名)と2011年度卒業予定の大学生10名(男性3名,女性7名),計20名を対象とした。 結果:在学中のインタビュー内容をまとめた結果、景気動向など、就職年度によって,異なった概念も抽出されることがわかった。これらは,就職年度の外部環境,社会背景などが進路決定における大学生の心理的プロセスに影響を与えていることを示唆している。今後、同じ対象を追跡調査し、職業性ストレスや離職との関連を検討する。
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