研究概要 |
コミュニケーションを困難にさせている要因についての検討するために、質問紙調査を実施した。 対象者は、介護現場で働くスタッフ553名であった。調査内容は、共感的感情反応尺度(櫻井・葉山他,2011),セルフモニタリング改訂版尺度(岩淵・水上,2003),コミュニケーション困難さ尺度(水上,2011),Big-Five(清水,2008),基本属性(職場,就業形態など)の項目について回答を求めた。コミュニケーション困難さ尺度については、研究1の調査結果などを参考に,コミュニケーションの困難さに関する30項目の尺度を作成した。 調査方法は、F県介護福祉士会や県内の高齢者施設に協力を依頼し,同意が得られた施設に対し,調査票を配布し,郵送にて回収した。 コミュニケーション困難さ尺度について因子分析(最尤法,プロマックス回転)をおこなった。因子を構成する項目の設定基準は,固有値1.0以上,因子負荷量.40以上とした。構成概念妥当性を検討した結果,3因子に設定し,30項目から12項目を削除したほうが,内的整合性を保てると判断した。 第I因子は,「表出の困難さ」因子と命名した(α係数.87)。第II因子は,「相互作用の困難さ」因子とした(α=.86)。 第III因子は「読み取りの困難さ」因子と命名した(α=.83)。さらに,G-P分析とI-T分析をおこない,最終的に18項目のコミュニケーションの困難さ尺度を作成した。ここでのα係数は.93で,内的妥当性があると考えられる。 以上のことより,コミュニケーションを行ううえで,相手からの要求・応答などの表出行動を理解して,相手に合わせてコミュニケーションをとることに困難を感じやすいことが推察された。今後,セルフモニタリングや性格など,他の個人特性との関連について検討していく予定である。
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