「投影ドラマ法」は、ミニチュアの舞台と人形を用いて1人の「表現者」(「表現する主体」の意味でこう記す)が即興劇を表現し、後で見守り手とともにそれを振り返るという手続きから成る、報告者が考案した技法である。本研究では「投影ドラマ法」の臨床場面適用への知見を得るために、以下の4点の明確化を目的とする。1)「投影ドラマ法」の特異性を知るため、「投影ドラマ法」がもたらす心的体験の特徴を既存の表現療法技法との比較も踏まえ明らかにする。2)「投影ドラマ法」適用に有効な対象を知るため、「投影ドラマ法」の表現の仕方(表現スタイル)に着目し、それとパーソナリティ傾向の関連性を既存の表現療法技法との比較も踏まえ明らかにする。3)グループでの「投影ドラマ法」の可能性と意義を探求するため、グループでの即興劇と振り返りが「表現者」にとってどのような体験となりうるかを継時的調査により事例的に検討する。4)グループでの「投影ドラマ法」がもたらす心的体験の特徴や「表現者」の表現スタイルとパーソナリティ傾向の関連性を既存の表現療法技法や個人で行う「投影ドラマ法」との比較も踏まえ明らかにする。 本年度は、既存の表現療法技法としてコラージュ(写真や絵等を雑誌から切り抜き、台詞に貼って作品を作る技法)に焦点を当て、大学生・大学院生を対象に調査を実施した。4、5人からなるグループ形式と個別形式の両方で実施し、それぞれ約50名分のデータが得られた。また、「投影ドラマ法」の事例に基づく英語論文を研究科発行の論文集に投稿し、掲載された。
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