研究概要 |
分析対象者 研究参加への意思を示した大学生558名(男性179名:19.63±2.46歳,女性379名:19.67±2.25歳)。 調査内容 主観的ウェルビーイング:改訂-いきいき度尺度(PLS-R)(田中ら,2006)全14項目を用いた。ストリス:大学生用ストレス自己評価尺度(尾関ら,2004)より、ストレッサー(35項目)とストレス反応(35項目)を抜粋して用いた。睡眠習慣と食習慣:国際健康行動調査(代表:Andrew Steptoe)の食習慣と睡眠習慣に関する6項目に,田口(2008)の睡眠に関する7項目を追加した。ポジティブ感情表出行動:(1)感情表出コミュニケーションテスト(ACT)(大坊,1991)全13項目を用いた。また、(2)あいさつの回数と人数の記入も求めた。 研究成果と意義 健康関連行動や感情表出行動は,ストレスとよりも主観的ウェルビーイングとの関連性を多数示し,これらが直接的に個人のストレスに影響するとは考えにくかった。田中・津田(2009)のモデルに健康関連行動要因やポジティブ感情表出行動要因を位置づけて,これらを良くすることが主観的ウェルビーイングを高めることにつながり,その結果としてストレッサーがあってもストレス反応につながらなくなるという理論を支持する成果を得た。 さらに、健康関連行動や感情表出行動と主観的ウェルビーイングとの関連性を詳細に検討したところ、日常の些細な行動の違いにより主観的ウェルビーイングの程度が大きく異なることも明らかとなった。ちょっとした日常行動の修正により、主観的ウェルビーイングが向上することを示唆した。 これらの知見は横断的研究法に基づいている。次年度以降,複数の行動修正介入を行い,どういった介入が主観的ウェルビーイング向上に有効であるのか,また,主観的ウェルビーイングの向上によりストレス耐性が高まるのかを検証する。
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