研究概要 |
結果と考察計6種類の介入方略を検討し,SWBには「身体活動習慣の改善」に次いで「対人的相互作用の増加」「身体活動のセルフモニタリング」「良いこと/強みの発見」が同程度の効果量を示した。SWB構成要素ごとでは,ネガティブ気分以外で「身体活動習慣の改善」が最も効果的という結果であった。この方略では客観的な活動量を測定するために他方略に比べて対象者数が少なく,分散分析では有意差を確認できなかった。効果量による検討の必要性を示唆する結果であると考える。満足感では,次いで「対人的相互作用の増加」「良いこと/強みの発見」の効果量が続いた。「コーピングと自己受容感の改善」は対象者が多く分散分析では有意差を確認したが,効果量はほとんど認めなかった。これも効果量による検討の必要姓を示唆する結果である。チャレンジ精神では「対人的相互作用の増加」と「睡眠/食習慣の改善」が順に,気分転換では「身体活動のセルフモニタリング」が続いた。 ネガティブ気分では「睡眠/食習慣の改善」「身体活動量のセルフモニタリング」「良いこと/強みの発見」が順に高い効果量を示した。上位2ワークについては大学生における生活習慣の不規則さと生活満足度の低さ等の先行報告(磯部・重松,2007 et al)に一致する。「良いこと/強みの発見」での満足感とネガティブ気分という感情面での効果は,海外で作成された本方略(Seligman et al.,2005)が本邦大学生にも有用であることを示唆する。 成果の意義SWB向上に資する複数の方略について効果量の比較を行い,従来の研究で汎用される分散分析での検討では見過ごしていた真に効果的な介入方略を見出した意義は大きい。SWB構成側面ごとに効果的な介入方略を探索したことにより,初年度の横断研究で検証したストレスとの関連が強い側面に有効な方略を選択して用いることを可能にした。
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