研究課題
本年度は「動的刺激が視覚・聴覚位置判断に及ぼす影響」というテーマの中でも、特に空間的範囲の特定と時間軸への展開に重点をおいて研究をすすめてきた。具体的には、【a】ダウナミックで複雑な課題を行っているときの視覚的に有効な空間を計測する実験と、【b】日常生活で観察されるようなヒトの動きを撮影した動画を刺激としたさいに起きる時間知覚の変容、【c】動的な刺激を観察中に生じる再認記憶の向上に関する実験などを行った。【a】に関しては、視覚的に複雑な課題を行っている時に使用される空間的範囲を特定することを試み、それが実際に測定できることを示した。またその結果を網膜中心座標系と身体中心座標系に展開した。この成果は、国際学会で発表された。【b】に関しては前の研究課題で発見された「予測されない視覚刺激が提示された時に、その時間的近傍のイベントが、その予測されない視覚刺激のタイミングにより近く感じられるという現象」(temporal magnet effect)に基づくものあり、それを日常生活を撮影した動画で調査したものである。その結果、同様の時間知覚の変化が、人の動作等の「区切れ」で生じうることなどを見いだした。この成果は、現在国際誌に投稿中である。【c】に関しては、動的刺激による知覚変化が記憶に与える影響を詳しく調べる実験手法の開発を行った。予備的な実験をは既に終わっており、来年度の研究期間で本格的なデータの収集を行える状況にある。
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