研究課題
平成22年度は本研究課題「動的刺激が視覚・聴覚位置判断に及ぼす影響」という研究テーマの最終年度にあたるため、今までの研究成果の外部発表に重点を置きつつ、次の研究テーマへの展開を視野に入れた研究を進めてきた。前年度の研究において見いだされた一過性の知覚刺激による空間的・時間的歪みが生起する条件を詳しく調べるなかで見いだされた「予測されない視覚刺激が提示された時に、その時間的近傍のイベントが、その予測されない視覚刺激のタイミングにより近く感じられるという現象」(temporal magnet effect)に関しては、その記憶表象への影響、日常生活での動作を認識する際の分節の影響を詳細に調べ、そのような時間的影響が日常生活の記憶にも反映されることを示唆する結果を得た。さらには予測可能性を空間的予測可能性・時間的予測可能性に分けて調べた所、空間的な予測可能性ではなく、時間的な予測可能性が大きな影響をもつことが明らかになった。加えて、新たな展開として、聴覚刺激による知覚の乱れ、注意を向けて物体を追跡している時の注意の分散の仕方などを予備的に調べる実験を行い、視覚時空間におけるクロスモーダルな影響が存在しうること、また本研究課題で得られた知見を三次元空間に拡張できる可能性などを示唆するデータを得た。これまでの成果は査読付き論文・国際学会などで発表しているが、さらなる解析によって新しい知見が得られた場合には、逐次外部に発表していく予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
Attention, Perception & Psychophysics
巻: 72(8) ページ: 2157-2167
Psychologia
巻: 53(2) ページ: 125-137