研究概要 |
本研究の目的は,三次元空間内での注意の配分型がどのようなものであるのか,また,その配分型が観察者静態と動態のそれぞれの事態によって,どのように変化するのかを明らかにしていくことである.この問題は自動車運転や工場内での作業といった,動的環境内における認知処理が求められる場合のインタフェースの配置や安全性の確保に重要な点である.本研究では,これまでに用いられてきた手がかりによって注意配分を操作する手法ではなく,ノイズ刺激による干渉を用いたパラダイムという新たな手法からのアプローチによってこの問題を検討することとした.すなわち,ある空間的位置での課題遂行の際に,奥行き方向の異なる位置に提示されるノイズの干渉がどの程度みられるのかを指標として注意配分の様相を検討する手法である.本年度は初年度であり,具体的な実験実施に向けて,実験装置の整備と実験計画決定のための基本的な事項についての検討を行った.本研究は,より現実に即した事態での認知処理を検討するために,実際空間内での実験を実施するため,刺激とその提示方法については慎重に吟味する必要がある.そのため,標的刺激とノイズ刺激に関する提示手法について,これまでの研究を含めて検討した.次年度では,具体的に実際空間内で注意がどのように配分され,仮題によってどのように変化するのかを明らかにしていくために,新たな実験パラダイムによるデータ収集を進め,三次元空間内での有効視野形状の動的特性について接近していく.
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