老齢ネズミを用いて加齢によるストレス脆弱性と情動の変化に関わる脳内機構について検討した。老齢個体は不安様行動が多く、記憶機能の低下等を示した。さらに、慢性ストレス負荷によって老齢個体の不安様行動はより増加し、ストレスホルモンも増加した。しかし、若齢個体ではそのような変化が観察されなかった。老齢個体の行動特性およびストレス刺激に対する脳神経活動分布から前頭前野や扁桃体、縫線核などの関与が推測され、加齢による神経伝達物質濃度の増減が認められた。これらの結果は、加齢によるストレス脆弱性の亢進に基づいて生じる情動の発現調節機構の一端を示している。
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