研究概要 |
前回の若手研究(B)に引き継ぎ,戦後初期の小・中学校が作成したカリキュラム関係の冊子類の閲覧,収集を行い,コア・カリキュラムの実態をつかんだ。兵庫県立教育研修所,滑川市立北加積小,茨城大学附属小,前橋市教育資料館,郡山市立金透小,福岡教育大学附属小倉小,常総市立水海道小,埼玉県立総合教育センターが貴重な資料を所蔵していることが判明し,借り出して複写した。また,豊岡市立豊岡小,墨田区立業平小,滑川市北加積小,尼崎市立小,綾部市立小,群馬県勢多郡内中,和歌山市吹上小,南足柄市立福澤小,富山県の総合教育計画に関わった元教師が責重な資料を所有していると分かったので複写をし,それらを元にインタビューを行った。コア・カリキュラム連盟のリーダーであった教師の実子の編集者にもインタビューを試みた。 その結果,1. [カリキュラム基準として]コア・カリキュラムや三層四領域論で,いかなる「二項対立」の克服がいかに克服されたか,形態上いかなる意味で「総合」的な教育課程であったのか。また,2. [各校のカリキュラム計画]それらにあたるものを作成した学校のプランに即して,コアと周辺,および基礎,問題解決,生活実践という三層のうちに,今日でいう習得,活用,探究が互いにいかなる論理・関係で「総合」されていたか。3. [カリキュラム実践とカリキュラム経験]各校の計画が,実際には,授業や単元のかたちでいかに実践に移されようとしたか,その際,何が困難であったか,といった意味での,いわゆる教師のカリキュラム観を明らかにし,考察するための視点と見通しを得ることができた。
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