研究概要 |
戦後初期に小学校などが作成した冊子類ほか教育史料(公開授業の際に配布・販売されたような研究紀要,カリキュラム冊子,指導案集,実践記録ほか)の閲覧,収集を行い,コア・カリキュラムの計画と実践の実態を調査した。秋田大学附属図書館,秋田県立図書館,兵庫県立教育研修所,神戸大学附属小学校,富山県総合教育センター,前橋市立木瀬中学校を訪問し,史資料の複写または写真撮影を行った。また,今年度のインタビューは,対象者を教え子にしぼり,加東郡(現加東市)福田小学校,および前橋市立木瀬中学校に戦後初期に在籍していた数名に集まっていただく座談会形式で行った。これまでと同様,テープ起こし記録を作成中である。 その結果,とくに,[各校のカリキュラム計画]につき,コアと周辺の,または基礎,問題解決,生活実践という三層の関連づけ方のうちに,今でいう習得,活用,探究が,各校独自の形式で「総合」されていたと解釈できた。また,[カリキュラム実践とカリキュラム経験]たついて,各校の計画が,子どもの側の経験や記憶のうちにいかに実現していたかを明ちかにでき,とくに思い出としては行事や遊びといった生活面が目立ち,学校の記憶が,農村部ではとくに家業の手伝いを含む生活全体と関係づけられながら位置付いていることが見えてきた。 また,さまざまな学会大会,研究会,ワークショップ,研修に参加することで,カリキュラム分析に関わる視点と見通し,とくに質的な研究の方法論などを鍛えることができた。 以上を通じて,戦後初期のカリキュラム論を現在にも活用し,カリキュラムを教科ごとでバラバラにとらえず,習得,活用,探究といった連続した流れで捉え直すための展望が得られた。
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