本研究の成果は、以下の二点に集約される。第一に、本研究では、19世紀を中心に多数出版された宗教小冊子で扱われる死のテーマについて、その構造を明らかにした。そこには、忍苦と信仰、幸福な死を描くと同時に、残された者の喪の作業とグリーフ・ケアという側面も含まれていた。第二に本研究は、そうした小冊子が生まれてきた系譜について明らかにした。これは17世紀宗教改革後に著された多くの宗教書との関連において捉えられるべきであり、そうした大人のための宗教書と、子どものための本との内容的な一致点と相違点を明らかにした。
|