本研究の目的は、「理論と実践の統合」を高める教員養成システム構築のために、英米圏の改革モデルとは異なる改革モデルを有するドイツに注目し、その特徴を歴史的・思想的な視点から分析することによって、ドイツの到達点と課題を明らかにし、現在すすめられている日本の教員養成改革を評価・改善するための批判的視座を獲得しようとするものである。研究の初年度として、日本国内での文献収集および教育現場でのインタビュー調査に加えて、ドイツでの現地調査(2009年9月)を実施した。ドイツでは大学図書館、ベルリンの文書館(GStAPK)、国立ドイツ図書館、ドイツ教育学会教育史図書館などを訪問し、史資料の発掘・収集にあたるとともに、ハンブルク大学およびベルリン自由大学の研究者を訪問し、ドイツの教員養成制度の特色と課題についてヒアリング調査を行った。これにより、本研究を遂行するために必要となる一次史料を数多く収集するとともに、国内外の研究者と連携を深め、次年度の研究計画をすすめるための基盤を整備することができた。初年度の成果については『未来をつくる教育ESD持続可能な多文化社会をめざして』(明石書店、2010年)、『西洋世界と日本の近代化-教育文化交流史研究-』(大学教育出版、2010年)に寄稿した。
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