本研究の目的は、「理論と実践の統合」を高める教員養成システム構築のために、英米圏の改革モデルとは異なる改革モデルを有するドイツに注目し、その特徴を歴史的・思想的な視点から分析することによって、ドイツの到達点と課題を明らかにし、現在すすめられている日本の教員養成改革を評価・改善するための批判的視座を獲得しようとするものである。初年度はドイツでの研究調査を中心に研究をすすめ、次年度は英米圏の改革モデルを検証するために、アメリカでの研究調査を実施し、その成果をもとに授業実践を行った。最終年度となる今年度は、これまでの成果を学会等で報告するともに、それらの論文化および実践レベルでの検証を進めた。具体的には、1.国内の教員養成機関の取り組みに関する調査、2.国内での学会発表および研究会の企画開催、3.模擬大学および教職科目の授業づくりである。 1については、国内のいくつかの教員養成系大学および教職課程の取り組みについて聞き取り調査を行った。2については教育史学会、中部教育学会、大学教育改革フォーラム等の学会で研究成果について口頭発表を行った。3については、カリキュラムおよび授業づくりの実践として、昨年度に引き続き模擬大学を実施し、その成果を報告書としてまとめた。また、理論と実践の融合モデルとして、小中学校向けの授業開発を行い、その実践についても報告書としてまとめた。海外の研究者に対する研究成果の発信として、24年3月に「Education in Japan」のタイトルで講演を行い、同年4月にはネブラスカ大学で開催された国際学会で口頭発表を行った。これらの成果については24年度中に論文として刊行される予定である。
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