平成21年度は2年計画の初年度に当たるため戦後改革期における学校資料・占領軍資料等の発掘・収集作業を中心に行った。アメリカ公立公文書館(平成22年1月31日~2月5日:ワシントン)では占領軍側資料の収集を行い、日本教育会館(東京都千代田区)、高知県幡多教育会館(高知県四万十市)、北海道宗谷教育会館(北海道稚内市)等では学校側保存資料の収集を行った。また戦後教育改革期における教育法制作成当事者による公開文書・書籍・会議記録の検討を行うための基礎作業として、特に学校ガバナンス概念と密接に関連する「学校管理」「学校行政」等の用語についてデータベースを作成してきた。占領軍側資料のうち愛知県軍政部月例報告については翻訳作業をすすめ、その一部を公開した。 また戦後初期の学校ガバナンス改革において注目される、教育実践の過程で誕生した「学校づくり」の思想と構想についても検討をすすめてきた。教育政策としての学校管理・学校行政および教育法制作成当事者の立法思想とは異なって、父母・住民の学校参加を特に教育内容決定に関わらせて実現しようとするその思想的・実践的意図を確かめた。これを日本に固有な歴史的文脈の中で成立してきたもうひとつの学校ガバナンス構想として位置づけた。本研究に関する成果として、中部教育学会第56回大会で発表し、その後論文として発表した(11参照)。
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