研究課題/領域番号 |
21730621
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
赤沢 真世 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60508430)
|
研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 小学校外国語活動 / 評価 / 文字指導 / カリキュラム開発 |
研究概要 |
1.アメリカの入門期英語教育における文字指導のあり方についての研究 (1)WLとフォニックスの指導の統合化を図ろうとした「4ブロックス・アプローチ」にもとづいた実践書を取り上げ、文字指導を進める上での子どもの言語経験の蓄積の把握について、指導書の検討を行った。また、フォニックス指導の前提として位置づけられる「音韻認識能力」の指導をめぐるアメリカでの議論について、資料を収集し、検討を進めた。(2)アメリカの入門期英語教育において子ども中心主義に立つアプローチ「ホール・ランゲージ(Whole Language)についてアメリカ・アリゾナ州で訪問・調査を行った。理論的第一人者であるK.Goodman、Y.Goodmanへのインタビュー、現地小学校での授業観察、教員へのインタビューを行ったほか、90年代を中心として研究が進展していた時期の講演記録、文献を収集した(2013年2月26日~3月4日)。 2.小学校におけるアクション・リサーチによる文字指導を軸としたカリキュラム試案開発・評価 (1)今年度より新たなものとなった小学校外国語活動の副教材の分析を行った。さらに、日本の児童向けにすでに開発されている文字指導のワークブックや「音韻認識能力」を育成する教材について、分析を行った。(2)神戸市の小学校外国語活動を研究的に率いる横田玲子教授へのインタビューをはじめ、京都市(研究大会)、彦根市等の授業観察を行った。そこで子どもの言語経験にもとづいた文字指導のあり方について,フォニックス指導やそれに準じた活動をどのように導入・展開しているのかを調査した。 成果発表としては、1(1)、2(1)を中心として、文字指導カリキュラムの骨子(学年に応じた文字指導の長期的ルーブリック試案)を作成し、教育目標評価学会にて発表を行った(2012年11月11日)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、アメリカを中心とした入門期英語教育での教育方法をめぐる議論を参照しつつ、日本における小学校外国語活動における文字指導について先進的なカリキュラム・実践例を整理し、カリキュラム試案を開発、その後実践現場において実施・カリキュラム評価を計画していた。けれども、現在までの研究の進捗状況では、カリキュラム試案の前段階の長期的ルーブリックを開発する段階にとどまっており、実施・カリキュラム評価まで到達出来ていない。 理由としては、第一に、小学校外国語活動の教材の改訂による、指導内容・カリキュラムの改訂があったことである。そのため、研究面でも今一度教材研究が求められ、新教材における文字指導の位置づけや整理・分析に時間がかかることとなった。 また学校現場でも再び教材解釈・教材開発が求められ、現場の取り組みとして、文字指導にかかわる実践よりもまず、新教材を活用した授業づくりに焦点が当てられたことが挙げられる。ここから、当初想定したよりも文字指導を先進的に取り組む事例が少なく、整理・分析が十分に行えていない状況である。 しかしながら、こうした新教材の丁寧な分析は、現在展開されている小学校外国語活動のカリキュラム開発にとって不可欠なものであり、より学校現場の要望にも対応できる文字指導カリキュラム開発ができると考える。 今年度の到達目標としては、新教材に即した文字指導カリキュラム試案を具体化し、現場および研究として発信することを主な柱として展開していきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究の到達点としては、新教材に即した文字指導カリキュラム試案を具体化し、現場および研究として発信することを主な柱として展開していきたい。 アメリカにおける入門期英語教育における「音韻認識能力(Phonemic Awareness)」「フォニックス(Phonics)」をめぐる議論を追いながら、ドリルや分断された知識の教授としての文字指導ではなく、子どもの生活場面・言語活用場面を尊重した文字指導、また日本人児童および中学生生徒の言語発達のつまずきに即した文字指導のカリキュラム試案を作成する。 そして、自身がかかわる学校現場において試案を提供したい。可能であれば、試案を元に授業づくりを行い、評価・改善を行うことまで出来ればよいと考えている。ただし、各学校・自治体の事情により、授業づくりまで到達できない場合も考えられる。その場合は試案に対するコメント・フィードバックを出来るだけ多く集めるように展開させたいと考える。
|