研究概要 |
最終年度である本年度は、文字指導をめぐっての現状の整理やカリキュラム試案を発信すること、および教材例を元にした文字指導の小冊子を作成することを目標として研究を進めた。研究の二つの柱のそれぞれについて、具体的には以下の研究を行った。 1.アメリカの入門期英語教育における文字指導の在り方についての研究:近年注目されてきた文字指導の前提としてのフォニックス指導をめぐって、新たにその前提としての「音素への気付き」「音韻認識能力」(原語:Phonological Awareness, Phonemic Awareness)の議論が深められてきた。7月にはアメリカ・ニューヨークで行われるWhole Language Umbrella(子どもの言語経験を重視するアプローチを進める現場教師・大学教員を中心とした研究団体)の年次大会に参加し、こうした能力の指導の必要性、具体的指導方法についての議論に参加したほか、現地での文献や指導教材の資料収集を行った。 2.小学校におけるアクション・リサーチによる文字指導の研究:小学校外国語活動における「音韻認識能力」を意識した取り組みについて、授業見学および分析を行った。また、「音韻認識能力」という観点から外国語活動ならびに中学校入門期の教材(教科書、指導書、ワークブック)の再分析を行い、文字指導についてのカリキュラム試案をより整理した。 なお、1.を踏まえた2.の教材分析については2013年10月の日本教育方法学会にて学会発表を行い、発信した。さらに2.のカリキュラム試案は、外国語活動における文字指導のパンフレット『英語の文字 発見!ノート』を作成し、授業研究で関わる小学校現場に配布した。今後、フィードバックを得て、改良を行うとともに、音韻認識を意識した文字学習の実施を展開していきたい。
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