平成23年度は、「混合能力教授」に関しては「共同学習」、「共通カリキュラム論」についてはスクール・カウンシルのカリキュラム開発プロジェクトの考察を進めてきた。具体的には、「混合能力教授」の中に「共同学習」の流れが存在したことを立証するために「Co-operative group work:an overview」を代表とするJean Rudduck氏らの研究を、スクール・カウンシルのプロジェクトについては「The Humanities Curriculum Project」に焦点を合わせ、研究を行ってきた。その結果、Jean Rudduck氏らの「共同学習」の主張は、スクール・カウンシルの「The Humanities Curriculum Project」の成果を土台としていることが明らかとなった。 以上のような研究に加え、平成23年度はコンプリヘンシブ改革期の教育評価に関する研究にも着手した。具体的には、1975年から開始されたAPU調査(Assessment of Perfbrmance Unit)や、形成的評価論について研究を行ってきた。その結果、APU調査では、現在、教育評価論において注目されているパフォーマンス評価が先進的に取り入れられていること、また評価課題の分析から、APU調査では、単なる知識・理解ではなく、思考力や協同性など、より高次な学力を評価の対象としていたことが明らかとなった。こうしたAPq調査に見られる学力観と「TheHumanities Curriculum Project」が育てようとしていた学力との関係を考察していくことが、今後の課題として見いだすことができた。 また本年度も、渡英を行うことで、ロンドン大学の名誉教授であるJohn White氏や教育評価研究に携わっているマンチェスター・メトロポリタン大学のHarry Torrance教授から話を聞くことができた。
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