平成24年度は、国内の学校財務先進自治体および海外文献調査を実施した。 国内の学校財務先進自治体では、学校の予算配分の金額や制度の著しい展開は見られなかったものの、学校予算をより効果的に運用するための組織開発や教育委員会支援が進展しつつあり、学校分権の基盤拡充の進展であることが検証された。文部科学省の推進する学校支援のための学校事務職員配置やそれにもとづく共同実施などが一定の効果を上げていることも県検証された。 また海外文献調査からは、近年、展開されている「教育の生産関数」研究について、集中的にレビューを実施した。「教育の生産関数」研究からは、学校の予算や施設設備が学力(テストスコア)に直接の影響を与えていることは実証されていない。しかしながら、学校の自律的運営が、教育活動にポジティブな影響を与えていることは、School Based Managementの研究者らが指摘することであり、学校に予算や財源、人員が十分に保障されている学校と、そうでない学校との、教育の成果(テストスコアに限らず、不登校や暴力問題等)の検証が、日本における学校分権研究の課題であることが、位置づけられた。 今後が、学校運営や自治体教育経営に対して、予算や財務の学校分権が与える正の影響や、教育の成果向上との関連性について、検証が必要である。
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