研究概要 |
1.情報収集活動 Multi-agency論,inter-professional論,joined-up Governance論,core executive論など,諸外国(特に英国)における複数行政領域間の連携・調整・コミュニケーションにかかわる書籍・資料を中心的に入手し整理・検討を行った。また,学会・研究会に参加し,幼保一元化および行政における複合領域の連携をめぐる動向について情報を収集した。 2.国外調査 2010年10月には英国リーズ市に赴き,City Council,youth centreなどを訪問し2010年5月の政権交代前後の子ども・若者行政の一元化の動向についてヒアリング調査を行った。調査の結果,前労働党政権で推進されてきた子ども・若者政策の一元化は現時点でもその枠組みは一定程度維持されていたことが確認された。しかしながらその一方で,関連予算の削減が推し進められていると同時に,子ども学校家庭省は教育省に再編されるなど,包括的・全体論的な子ども・若者政策の転換を志向しているとも解釈できる動きもみられた。 3.研究成果のまとめと公表 上記の現地調査で得られた素材のほか,Multi-agency論,inter-agency論,活動理論にかんする文献に基づき,子ども行政の一元化に関するメリット,デメリットについて理論的な考察と整理を行った。あわせて,英国における政権交代後の子ども行政の動向ならびに同国で2010年11月に公表されたspending-reviewに基づいた財政再建が特に若者行政の予算の削減に大きな影響を与えている点を明らかにした。なお,上記にもとづいた研究成果にかんする論稿の公表・検討については,先般の震災等により研究会が中止されるなどの影響が生じたため一部が次年度に繰り越されたが,2011年7月に琉球大学で開催された教育政策学会において,「英国における子ども・若者支援行政の一元化の理論的背景にかんする整理-P・M・フォレット,core-executive論,multi-agency論にみる政策の調整と一元化の位置づけ-」と題して,組織間調整の枠組みの理論化について発表を行った。
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