本研究の目的は、シティズンシップ教育の理論と実践を、デューイとプラグマティズムのかかわりから明らかにすることである。平成24年度の研究活動として、8月に、ブリティッシュ・コロンビア大学教育学部カリキュラム教授学科と中国の復旦大学哲学学院デューイ研究センターに滞在し、研究交流や資料収集を行った。また、3月には、ルクセンブルク大学、アムステルダム自由大学、コペンハーゲン大学などを訪問し、ヨーロッパにおけるデューイとプラグマティズム研究について学習する機会を得た。研究成果の一部は、「民主主義社会の(再)構築に向けたカリキュラム論の探究(1):D.マイヤー著『学校を変える力』の合評を通して コミュニティ論の観点から」(日本カリキュラム学会第23回大会課題研究、平成24年7月7日)や、平成25年5月刊行予定の『民主主義への教育――学びのシニシズムを超えて』(東京大学出版会)として発表される。本年度の研究活動を通して、シティズンシップと民主主義の学習にかかわる理論的、実践的な課題について、デューイの進歩主義とプラグマティズムの角度から接近する総括的な研究を遂行することができた。
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