研究課題/領域番号 |
21730650
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
渡辺 貴裕 帝塚山大学, 現代生活学部, 准教授 (50410444)
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キーワード | 演劇的手法 / 演劇教育 / ドラマ教育 / 劇化 / 動作化 / 学習方法 / 身体性 |
研究概要 |
本研究は、演劇的手法を用いた学習に関して、(1)日本の教育実践の蓄積の掘り起こし、(2)イギリスのドラマ教育の理論および実践の検討、(3)学校現場との共同授業研究の3つを研究の柱としている。本年度は主に(2)と(3)に焦点を当てた。それぞれの成果は以下の通りである。 (2)ドラマの手法を使っての物語の世界の体験が国語教育の観点からはどう意味づけられるか、J.ニーランズの理論とJ.ファイフの実践事例をもとに考察を行い、論文にまとめた。これは、日本で中心を占めている本文の叙述の直接的な再現とは異なるタイプの演劇的活動の方法と意義を示唆している点で、重要である。また、J.ファイフの実践事例をめぐっては、教師が果たす役割という点からも分析を行い、学会で発表を行った。教師の役割として「役モード」「教師モード」「語り手モード」の3つを抽出し、それぞれの働きを明らかにした。さらに、現在のイギリスでのドラマに直接通じる流れをっくった人物としてG.ボルトンに注目し、関連文献を蒐集・読解するとともに、渡英して関係者へのインタビューを行った。 (3)城陽市、神戸市、高島市などの小学校教諭との共同研究を進めた。特に、城陽市の教諭2名とは、単元全体を通しての、ドラマの手法を用いた「スーホの白い馬」の学習を設計し、実践、検討に到った。これらを通して、具体物による見立てや色の象徴的な使用などといった、活動をより効果的にするための実践的な知見を得た。同時に、こうした学習方法に親しんできていない教師や子どもが新たに取り組もうとする際に生じやすい問題点(表現させることに傾斜したホットシーティングの使用など)を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の3つの柱のうち、「日本の教育実践の蓄積の掘り起こし」については、資料は相当量蒐集してあるものの、その分析が進んでいない。一方、「学校現場との共同授業研究」に関しては、関心を持つ教師、学校が当初の予想以上に多く現れ、プロジェクトを進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
演劇的手法を用いた学習活動の導入に関心を持つ教師が多数得られたことを受け、「学びの空間研究会」という共同研究組織を2012年4月に発足させた。今後、この研究会にて、活動の開発、実践の報告と検討などを行っていく予定である。
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