研究概要 |
当初の計画において、本年度は、「ヴァイマル期ドイツ社会教育史の検討」および「ドイツ現地での史料調査」を実施する予定であった。しかし、残念ながら、史料調査は諸々の事情により断念せざるをえず、結果として、国内で入手できる先行研究を用いたヴァイマル期社会教育史の検討を行うのみとなった。とはいうものの、本年度の作業は次年度につながる大きな成果があったものと考えられる。 本年度、検討の中心としたDollinger, B., Die Padagogik der sozialen Frage (Sozial-) Padagogische Theorie vom Beginn des 19. Jahrhunderts bis zum Ende der Weimar Republik, Wiesbaden, 2006.は、タイトルから示唆されるとおり、19世紀からヴァイマル末期までの教育(学)理論を、「社会問題」や「社会」概念との関わりで検討するという本研究の問題関心と大きく関わるものであり、本研究において大きな示唆を与えてくれるものであった。大著ゆえ、すべてを検討しきったわけではないが、社会教育史と(教育)社会学理論をつなぐ大きなヒントとなるものであった。また、本研究のもう一つのテーマであるカトリック社会教育論に関しては、先行研究の入手・検討をおこなっている段階であるが、これについても、なお進めていきたいと考えている。このように、本年度は、他・多分野の先行研究の整理に費やした1年であったが、こうした研究課題のありか方について、2009年10月31日に「比較教育社会史研究会(若手部会)」にて、「ヴァイマル期ドイツにおける「社会」概念と教育」と題した研究発表を行った。
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