本研究は長期の欠席と社会変動との関連について理論的・実証的に検討することを目的としている。1950年代に文部省によって実施されていた「公立小学校・中学校長期欠席児童生徒調査」の詳細な検討から長期の欠席者と階層との関連が示唆されたと同時に、戦後の新学制の定着が長期欠席者対策を通じて行われた過程が浮かび上がった。また「不登校」「学校ぎらい」「登校拒否」「長期欠席」といった概念の変遷、欠席者の量的変化を、公式統計調査をもとに戦後から検討した結果から、戦後の教育理念の変遷と欠席者の把握の枠組の変化の関連が示された。
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