本研究の目的は、国私立小学校への受験プロセスと進学後の学習行動に関して、教育社会学的な視点から捉え、「受験(準備)の低年齢化」の実態と課題を明らかにしていくことである。第一の分析課題は、国私立小学校進学目的を調査し、小学校受験に潜む現代的な家庭の教育戦略を捉えることである。第二の分析課題は、「小学校受験をする家庭は、どのような意識で、どのような準備をし、どの程度の経済的・心理的負担であるのか」を調査し、小学校受験の実態を明らかにすることである。第三の分析課題は、国私立小学校進学後の子どもたちの学習行動、特に中学受験に対する準備状況を調査し、明らかにすることである。 平成22年度~24年度は、第三の分析課題を明らかにするために、「国私立小学校、主に低学年の生徒の学習行動に関する質問紙およびインタビュー調査」を縦断的に実施することとしている。今年度は、前年度の調査対象者のうち、引き続き研究協力の承諾を得た者およそ100名を対象に、小学校3年生時点の追跡調査を質問紙調査によって行った。その結果、調査対象者の小学校3年生時点での学習行動等について、それ以前のものと比較しながら深くとらえることができた。 本年度の研究成果は、学問的には看過されてきた「国私立小学校に通う生徒の学習行動」について目を向けているという点で意義があるとともに、現代的な課題である「家庭の教育戦略にみられる階層間格差」について検討する上でも重要なものである。 本年度は本研究の最終年度であるため、本研究を発展的に継続させていくために、本研究の知見や課題をとおして新たに浮かび上がった研究課題を明確にし、今後の研究実施計画をたてることも行った。
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