研究概要 |
本年度は,イスラーム圏からの留学生受入,ならびにムスリムの社会的統合に関する政策や実践に関する国際的な情勢について,国際会議での情報収集や文献研究を行った。 5月に参加した,NAFSA (National Association of International Educators)第61回大会(5月24-29日於ロサンゼルス)においては,アメリカの大学におけるムスリム留学生獲得への関心は引き続き高く,イスラーム圏からの留学生受入に関わる大学関係者のネットワークも形成されてきていることが確認された。また,同会場にて前回大会で関連発表を行っていた西イリノイ大学の担当者にインタビューも実施し,その結果NAFSAの助成金プログラム(Collaborative Training Grants Program) 2006-2007年度採択分が,中東からの留学生理解・支援に関わるプログラムを対象として実施され背景として,大規模なサウジアラビア政府派遣留学生受入を控えてのアメリカ政府の関心が強く働き,助成金獲得への関心が大学に強く働いたことが確認された。ヨーロッパやオセアニアにおけるムスリム移民やムスリム留学生受入に関わる状況についても,メトロポリス第14回国際会議(9月14~18日,コペンハーゲン)に参加して,関連発表の聴講や市内のムスリムコミュニティを訪問するフィールド・ワークを通じて情報収集を行った。 日本国内の状況についても,留学生関係の諸会議等の機会を通じて情報収集を行った結果,非公式及び公式のムスリム用礼拝室の設置が新たに数件確認された。 前回科研での調査結果に,今回調査で得たより国際的な視点を加えてこれまでの成果を論文にまとめ,学術雑誌に投稿した(『異文化間教育』第32号に採択決定)。
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