(1) 平和研究界において進められている能力・資質研究成果のフォローアップ ユネスコおよびユニセフの進めてきた平和教育キャンペーンの報告書等などを分析し、平和構築に関する最親の資質能力育成理論及び学習方法の理論と実践研究をレビューした。また、平和教育研究者らによる先行研究を行い、北米、欧米、アフリカ、中東での平和教育における成果と今後の課題について明らかにすることができた。 (2) インドネシア、ロシア、日本の平和教育の現状および平和構築コンピテンシーの分析 インドネシア、ロシア、日木において行われている地球市民教育、人権教育、民主主義教育、軍事教育、平和教育に関するカリキュラムや教育プログラムを平和構築の観点から分析し、コンピテンシーディクショナリーとモデルの作成を行った。研究資料は、学術論文、学習指導要領に相当する国家カリキュラム、教科書、教師用手引書、実際の教育計画などであり、国内では入手が難しいインドネシアとロシアについては現地調査を行った。また、インドネシアとロシアでは、実際に平和教育プログラムの実践の調査を現地で行い、当該地城の教育関係者、研究者との情報交換を行うことで、分析の妥当性を高めることができた。特に、インドネシアでは、紛争後地域で取り組まれてきた平和教育活動と平和教育カリキュラムおよびその実践の課題を現地調査で明らかすることができ、学校教育全体の復興と地域に根ざした教育と併合して包括的な平和教育プログラムを今後いかに進めることが可能であるかについての提案まで行うことができた。ロシアでは高校生たちと平和について議論することができ、日本との歴史認識の違い、軍隊や国家政治に対する考え方、議論の能力の高さなど、平和教育だけでなく、歴史教育、文学教育の成果の違いに驚き、来年度の調査に向けて非常に興味深い情報を収集することができた。
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