(1)米国における平和な社会を構築するための教育活動に関する調査を行った。ロサンゼルスの寛容博物館を訪問し、教師用ガイドブックを収集し、分析を行った。同地の小学校を訪問し、平和教育担当教員に面接調査を行い、平和教育カリキュラムチームで開発したカリキュラムを6年間分収集し、実践状況を調査した。また、カリフォルニア州立大学を訪問し、平和構築に関する講義について調査し、教員養成課程における平和教育の取り扱いについて大学教員に面接調査を行った。米国においては、平和教育が一部の教員によって特定の学校においては重点的に取り組まれているが、多文化理解教育、寛容教育あるいは身近な暴力解決教育という人格教育に近いものであることを明らかにした。 (2)昨年度に実施したインドネシアでの平和教育調査を元に、アンボン市で開発された教材と国際機関カリキュラムと比較分析し、特徴を明らかにした。これは、研究計画に示していた「平和構築コンピテンシーを育成するためのカリキュラム理論の確立」の一部となる。計画では日本、インドネシア、ロシア、米国の各国の比較研究を基盤とする予定であったが、資料に制限があり、インドネシアと国際機関カリキュラムとの比較研究とした。 (3)インドネシアの公民教科書と平和教育内容の整合性の問題を指摘し、インドネシアでは地域科(日本での総合的な学習の時間に相当)を生かしたカリキュラムマネジメントモデルを考案し、論文として成果を発表した。 (4)カナダ・バンクーバーでの平和教育関連学会に参加し、カナダでの主に高等学校教員が取り組む平和構築コンピテンシー育成の内容と方法について情報収集および意見交換を行った。
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