研究概要 |
研究初年度の平成21年度においては、I. 進学行動の経済学・社会学的分析の融合のための文献研究(教育経済学・高等教育研究を中心)と、II. 大学教育の経済的効果(教育経済学を中心)に関する文献研究・データ入力・加工作業を実施した。なお、入力・加工データとしては、『賃金構造統計調査』における賃金データ(1980年以降(5年間隔)の全学歴・男女・産業・規模別)、『家計調査年報』における所得税額データを入力した。それらから税引き前・税引き後の全学歴・性別・年度別・産業別・企業規模別の賃金関数と収益率算出のための共通テンプレートの作成作業を進めた(これにより私的・公的・社会的収益率の算出が可能となる)。また男子については1990年代後半以降に収益率が急速に拡大してきていることを2004年データまでについて確認したが、上記の試算に基づけば、拡大トレンドが減少トレンドに転化するなどの傾向は見られず、高い水準での収益率が維持されていることが明らかになった。 また、以上他に男子の大学進学行動について大規模個票調査(2000サンプル)に基づき、経済モデルにより分析を行い、主観的な期待経済的便益の大きさが大学進学行動を規定していることなどを明らかにした(島,2010)。
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