研究課題/領域番号 |
21730676
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
園山 大祐 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (80315308)
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キーワード | フランス / 教育社会学 / 学校選択 / 学区制 / 学校回避 / セグリゲーション / 教育戦略 / 階層 |
研究概要 |
本研究の目的は、フランスの独自の社会状況や制度的特質を意識した上で、学区制度に注目する。すなわち、2007年度以降の学区制の廃止に向けた政策の影響に焦点をあてながら、どの階層にどのような学校回避がみられ、そのことがどのようなセグリゲーションをもたらすのか解明する。 フランス国民教育省における統計データと、フランス研究グループの報告書を参考に分析を行う。フランスにおける現地調査では、パリ市および郊外地域の優先教育校を中心に、学区制度の良し悪しと、各校長にみられる学校回避に対する工夫についてインタビューを実施する。各教員にもインタビューを重ねながら、教員の異動に与える影響あるいは、学校教育計画作成との関係について分析を行う。 以上から、学区制度の廃止に向けた政策が、どの階層に、そしてどのような学校回避を生み出し、校区におけるセグリゲーションの進み具合について教育社会学的に考察を深める。 上記研究目的を達成するために、昨年度までに行ったヒアリング、研究発表、現地調査の分析に加えて、学区制に関する全国レベルで実施されたいくつかの調査報告書をもとに、2012年2月に、学校選択のパラドックス』(勁草書房)をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画に基づき,現地調査を実施し、順調に本年度の研究を進めつつある。また、最終年度に向けた研究成果の蓄積については、すでに一部は『学校選択のパラドックス』として刊行している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、5年間のサルコジ政権下における学区制の効果、そのメリット、デメリットを明らかにし、各種研究グループ間の結果の相違についても分析を行い、いかに学区制度の緩和によって学校回避が進んでいるのか、どの階層において顕著なのか、またそれはなぜか。さらには、そうした回避行動に対して、各学校はどのような対策を講じているかなどについて、2012年秋に現地調査を行い、最終的なフランスの新政権における政策を見据えながら、2007年から実施された学区制の緩和政策の課題について最終報告書をまとめる。
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