研究概要 |
第1年次の具体的な作業計画は次の3つであった。(1)研究課題1)に対する分析のための枠組みの改善,(2)研究課題2)で比較する対象を明確にするために,前期中等教育段階の教科書,実践の分析,(3)研究課題1)に対する調査としてDGEを利用した実践の計画。この達成について、特に(2)に関する部分での見直しが必要となり、平行四辺形の概念形成に焦点を当て、考察・検討した結果、研究課題1)に関連してその他の図形の概念についても、面積などの関係諸領域での学習経験を含めさらに考察することの重要性が示された。これは作業計画(1)のみならず(3)についての再計画を必要とする。このことを踏まえ、昨年度の作業具体的作業計画を次の通りとした。 ・学習経験の質の変化をみる枠組みの改善とそれに基づく分析、DGEを導入した授業実践の再計画とこれに基づく検証 この計画に対し,中学校第1学年図形領域での実践を計画し,調査を行った。特に,インストラクショナル・デザイン研究における動機付けモデルであるARCSモデルをもとに,動的幾何環境における学習経験としての実践を組み立てた。また学習者に対する課題として,第1年次において問題となった平行四辺形の概念形成から派生し,要素間の関係についての考察を必要とする「高さ」の認識に関する問題について取り扱った。この結果,紙と鉛筆の環境では生まれることのない学習者の活動が見られた。また概念形成においても仮設の段階ではあるが,違いがみられ,現行のカリキュラムとは異なるアプローチの可能性がうかがわれた。第1年次の成果を学会で発表したが,これとともに,これらの結果を学会誌へ投稿する予定である。
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