今年度の研究では、英語の読解指導における教師発問の具体化を中心に、英文テキストを用いた実際の授業の中で、教師はどのように発問を提示すれば生徒の主体的な読解を促すことができるのか、具体的な発問例を提示するとともに、その活用方法のポイントについて検討した。そこで、中学校、および、高等学校の英語の検定教科書で使用されている実際の英文テキストを対象にして、とくに、典型的なテキストタイプである会話文、物語文、説明文の3つのタイプを取り上げながら、具体的な読解発問の提示方法を考案した。この考察を通して明らかになった、読解指導における発問づくりの具体化における留意点は以下の通りである。(a)テキストのメッセージを読み解く楽しさを生徒に感じさせるために、発問タイプや発問の提示順を工夫する(例えば、事実発問、推論発問、評価発問のバランスや組み合わせを考える)、(b)テキスト理解にクラスの生徒全員を参加させる手立てを発問提示の中で考える(教師の応答の方法やヒント情報の提示の仕方について事前に計画する)、(c)今後の読みにつながる読解ストラテジーをクラスで共有する(読解力育成のための指導目標を明確にしておく)、(d)生徒の読みをさらに深めるために推論発問のような発展的な発問を活用する(推論発問に答えさせるだけでなく、答えの根拠について他の生徒との解釈の違いを比較検討させる)、などである。これらのポイントをもとに、英文読解に対する生徒の主体的な読みを促しながら、生徒の読解力を効果的に育成する指導方策を具体的に提案した。
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